AIBTRUST株式会社(本社:大阪府大阪市北区、代表取締役:森岡 康一、以下「当社」)は、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が経済産業省の協力のもと実施する「J-StarX US Healthcare Breakthroughプログラム」のFoundationalコースに採択されましたことをお知らせいたします。
本プログラムには、AI・医療機器・デジタルヘルス分野で米国市場展開を目指す日本発ヘルスケアスタートアップ15社が採択され、2026年8月13日にジェトロより公表されました。当社は、Foundationalコースに採択された10社のうちの1社となります。
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【プログラム概要】
J-StarXは、経済産業省による起業家育成・海外派遣プログラムです。そのうち「US Healthcare Breakthroughプログラム」は、ジェトロおよびMayo Clinic Platformが経済産業省の協力のもと2024年度から実施しているプログラムで、Mayo Clinic Platform、Mayo Clinic Berg Innovation Exchangeならびに米国のベンチャーキャピタルKicker Venturesと連携し、米国市場での事業開発、実証実験、パートナー探索、商業化を支援するものです。
当社が採択されたFoundationalコースは、地域ごとに異なる規制の理解や知識習得、戦略策定、エビデンス構築等を実践的に後押しし、グローバルに挑戦するヘルスケアスタートアップの創出を目指すコースです。
▼ジェトロによる発表
- PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000256.000071241.html
- ジェトロウェブサイト(日本語):https://www.jetro.go.jp/news/announcement/2026/79ab8715d5704cba.html
- ジェトロウェブサイト(英語):https://www.jetro.go.jp/usa/topics/jetro_mayoclinic_platform_jstrx_us_healthcare_breakthrough_program_cohort_announcement.html
【背景】医療AIにおける学習データ汚染のリスク
生成AIの医療分野への実装が進む一方で、学習データに誤情報を混入させる「データポイズニング(学習データ汚染)」が、新たなリスクとして指摘されています。
医療LLMを対象とした研究(Nature Medicine, 2025)では、学習トークン全体の0.001%を汚染させた場合に有害な回答が増加したことが報告されています。この割合は、1,000億トークンのうち100万トークン、記事にしておよそ2,000本に相当します。同研究では、汚染されたモデルが標準的なベンチマーク評価において汚染のないモデルと同等のスコアを示したことも報告されており、通常の性能評価では汚染の有無を判別できない可能性が示されています。
医療分野においては、AIの出力が診断支援や文書作成など医師の判断に関わる場面で用いられます。そのため、学習に用いるデータの適正性を事前に確認できる仕組みが求められます。
出典:Alber DA, et al. Medical large language models are vulnerable to data-poisoning attacks. Nat Med. 2025;31(2):618-626.
【課題】匿名加工情報では来歴を追跡できない
医療データをAI開発に利用する際、従来は匿名加工が用いられてきました。匿名加工はプライバシー保護には有効である一方、加工の時点でデータの出所が特定できなくなるため、誤りが判明した場合に本人へ照会して訂正することや、汚染されたレコードを特定して除外することが困難になります。
当社は、AI開発に用いる医療データには、プライバシー保護に加えて、出所を証明できることが求められると考えております。
【当社の技術】TRUST基盤による医療データの信頼性担保
当社は「医療データが循環する社会」を日本から世界へ広げるというビジョンのもと、医療データの信頼性を担保するTRUST基盤を開発しております(特許第7498999号ほか)。カルテ情報は医療機関内に保持したまま、患者本人が保有する鍵によって利用を制御する設計とし、以下の6点を担保いたします。
- 出所の証明:どの医療機関で、どの医師が診断し、いつ発生した情報かを、データ1件ごとに記録
- 本人同意の証明:誰が、どの目的に、いつ同意したかを、検証可能な記録として保持
- 改ざん不能な利用ログ:誰がいつ何に利用したかをブロックチェーンに記録
- トラストの否定:誤りや同意の撤回が判明した際に、当該データの信頼を取り消し、下流のモデルへ無効化を伝播
- 非匿名化のまま利用:本人同意を前提にメモリ上でのみ利用。国内完結・3省2ガイドライン準拠
- FHIR準拠:返却情報を国際標準規格FHIR形式へ自動変換
このうち「トラストの否定」は、学習データ汚染への対処手段として機能いたします。誤情報の供給元を特定して当該データのみを無効化する、患者本人の撤回の意思を以後の利用に反映する、診断の訂正を利用先まで伝播させるといった対応は、いずれもデータの来歴が記録されていることを前提としています。
【AI監査】判断根拠の追跡に必要な5つの証跡
AIの判断根拠を事後に検証するためには、学習および推論に用いられたデータを1件ずつ遡って確認できる必要があります。当社はTRUST基盤において、出所・本人同意・加工・学習・推論利用の5項目について証跡を記録できる設計としております。このうち本人同意と推論・利用については、医療機関向けシステム「ヘルスインタビュー」において、同意の記録を改ざんできない形で保全し、AIへの質問と回答をログとして記録しております。
| 監査の対象 | 確認すべき事項 | 記録する証跡 |
|---|---|---|
| ① 出所 | この情報は誰が保証したのか | 施設ID・診断した医師ID・診断コード・確定時刻 |
| ② 本人同意 | 何の目的に、いつ、誰が同意したのか | 同意ID・目的・範囲・期限・承諾時刻 |
| ③ 加工 | 誰がどう加工したか。原本と一致するか | 加工者ID・操作履歴・原本ハッシュ |
| ④ 学習 | このモデルはどのデータで学習したのか | モデルのバージョン ↔ 利用データセットIDの対応表 |
| ⑤ 推論・利用 | 誰がいつ、どの判断に用いたのか | 推論ログ・利用者・時刻 |
※ ②本人同意・⑤推論・利用は「ヘルスインタビュー」で提供中の機能です。①出所・③加工・④学習は、TRUST基盤において記録できる設計としています。
匿名加工情報を用いた場合、このうち①②③⑤の各項目を記録することができません。当社は、学習に用いたデータの適正性を証明できることが、医療分野におけるAI活用の前提になると考えております。
【米国市場の動向】患者本人によるデータ利用の決定権
米国では、患者本人が自らの医療情報にアクセスし、その利用方法を決定できる制度の整備が進んでいます。
- 2016年12月:21st Century Cures Act(P.L.114-255)が成立。患者が自らの電子医療情報に「特別な努力なく」アクセスできることを国の政策目標として明記し、情報ブロッキングを違法としました
- 2020年5月:CMS-9115-F 最終規則(85 FR 25510)により、Patient Access API(FHIR)が義務化されました
- 2025年7月30日:CMSが主導する「Health Tech Ecosystem」構想に60社を超える事業者が参加を表明。うち21のネットワークがCMS Interoperability Frameworkの基準への適合を表明しました
欧州においても、欧州医療データスペース規則(Regulation (EU) 2025/327)が2025年3月26日に発効し、本人のアクセス・訂正・可搬の権利、および二次利用へのオプトアウト権が定められています(一般適用は2027年3月、二次利用に関する規定の適用は2029年3月から)。
一方、日本では2026年7月10日に改正個人情報保護法が成立し(同月17日公布)、統計作成等を目的とする場合には、要配慮個人情報についても本人同意なく第三者提供できる特例が新設されました(施行は公布から2年以内)。
当社は、本人の同意にもとづき来歴を証明できるデータでAIを開発するという当社のアプローチについて、規制環境の異なる米国市場においても有効であるとの評価をいただき、このたびの採択に至ったものと受け止めております。
【本プログラムでの取り組み】
当社は本プログラムを通じて、以下の4点に取り組んでまいります。
- 米国の規制・制度の理解:HIPAA、Cures Act、CMS規則など、日米で異なる医療データの取扱いを把握し、当社基盤へ反映いたします
- エビデンスの構築:来歴を伴うデータがAIの品質および監査可能性に与える効果を、米国市場で求められる形式で整理いたします
- 事業戦略の策定:ターゲット領域、提供価値、パートナーシップ方針を具体化いたします
- 現地パートナーとのネットワーク構築:本プログラムを通じて得られる関係機関との対話を通じ、協業機会を探索いたします
【今後の展開】
当社は本プログラムで得た知見を、国内におけるプロダクト開発および導入拡大にも還元してまいります。国内医療機関での実装を積み上げながら、海外展開に向けた体制整備を並行して進め、患者さま・医療機関・研究開発の三者に価値が還元される医療データ流通基盤の実現を目指してまいります。
■ 概要
AIBTRUST株式会社
- 代表者:代表取締役 森岡 康一
- 設立:令和5年12月
- 所在地:〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町6番38号 グラングリーン大阪北館 JAMBASE 6階 JAM-DESK
- 事業内容:医療データの信頼性を担保するTRUST基盤、医療機関向け「ヘルスインタビュー」、患者向けアプリ「メディレコ」等の開発・提供
- URL:https://aibtrust.jp
■ メディアお問い合わせ
AIBTRUST株式会社 広報窓口 Email:support@healthinterview.clinic